【最終日】北アルプス縦走紀行(蝶ヶ岳〜燕岳)〜大天井岳から下山へ〜
午前3時。
昨晩はかなり冷え、寒さで目が覚めました。
アルコールストーブでお湯を沸かし、あたたかいコーヒーを淹れます。
体の内側がじんわりと温かくなる。
最終日であるこの日も完璧なご来光が現れてくれました。
4日間恵まれた天候と暖かい陽の光に感謝し、自然と手を合わせます。
太陽が高い位置に移動した後、大天井岳山頂に登ります。
大天荘から山頂へは10分ほど。
山頂はダイナミックな景色です。
これまで歩いてきた道のりを眺めながらしばしの間これまでの行程に想いを馳せます。
山頂には数名のハイカーが。
しばし談笑した後テント場に戻り、ゆっくりテントを畳みます。
本日は下山日。
燕岳に向けて表銀座縦走コースを歩きはじめます。
表銀座縦走コースは一度歩いてみたかったのです。
ただ疲労は蓄積していたためか、このルートで3回こけてしまいました。
テンションがちょっぴり下がりながら、燕山荘へ到着です。
実は前年も燕山荘テント場に泊まったことがあるのですが、その時は天候が悪く燕岳山頂まで登りませんでした。
今回は快晴。
1年越しにリベンジすることができました。
その後は慎重に中房温泉まで下山し。無事に3泊4日の北アルプス縦走旅を終えました。
歩行中は雨に全くあわず天気に恵まれた山行になりました。
登山においてリスクが高まる単独行は決して褒められる行為ではありません。
それでも念頭に準備したうえで、長い時間山に身を置くことで得られることがあります。
それは「自分の心と向き合う時間」。
街と違い、山は無駄なものが一切ないシンプルな世界。
スマホの電波も入りづらいため、必然的にオフラインです。
そのような環境の中で長い時間一人で山を歩くことで、自然と自分の心と向き合い、思考が研ぎ澄まされていきます。
モノや情報が溢れた今日において、そのようなシンプルな環境に身を置くことは正直難しいと思っています。
だからこそ定期的に山に行きたくなるのは、雄大な景色を見たいだけではなく、シンプルな環境で自分と向き合う時間が欲しいからかもしれない。
そして雄大な景色を目にすると、自分の抱える悩みがちっぽけに感じます。
衣食住をすべて背負い、長い時間かけて走破した経験は、これから出くわす困難を乗り越えるための底力と自信に繋がっていくと信じています。